「恢はもう、学園には戻らないんだよね?」
「………そうだな」
確認の為に聞いてみた。
やはりそうなんだ…
「一条製薬がもう、恢を探していなくても?」
「………それは、ないな」
「そうかな?」
「俺はずっとあの一条の傍にいたんだ。あいつの事は良くわかっている。だから…」
一条…
それは蓮の父親であり、一条製薬の社長の事---
そして言葉を続けようとした恢の口は、それ以上紡ぐは事なく止まる。
不思議に思い端正な顔立ちである恢の顔をジッと見ていると、双方の瞳と視線がぶつかった。
あまりの真剣な眼差しに、ゴクンと思わず喉を鳴らしてしまう。



