紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~



「恢はもう、学園には戻らないんだよね?」


「………そうだな」



確認の為に聞いてみた。


やはりそうなんだ…




「一条製薬がもう、恢を探していなくても?」


「………それは、ないな」


「そうかな?」


「俺はずっとあの一条の傍にいたんだ。あいつの事は良くわかっている。だから…」



一条…


それは蓮の父親であり、一条製薬の社長の事---



そして言葉を続けようとした恢の口は、それ以上紡ぐは事なく止まる。


不思議に思い端正な顔立ちである恢の顔をジッと見ていると、双方の瞳と視線がぶつかった。




あまりの真剣な眼差しに、ゴクンと思わず喉を鳴らしてしまう。