紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~



「恢?」


「気をつけて帰れ」


「あら、送って上げないの?」



恢の言葉にすかさず月夜さんが言う。




「大丈夫です。私、結構強いんですよ」


「でも、女の子なんだし」


「…綾香、行くぞ。店の前で待っていろ」



そう言った恢は裏口へと引っ込んだ。




カランカラン---


恢がいなくなったと同時に、一組のカップルがこの店へと入って来た。


月夜さんはお水を持ってそのお客様に向かう為に歩き出す。私とすれ違いざま、気をつけてと言いながら通り過ぎた。


そんな月夜さんの背にペコッと頭を下げてから、学校指定用カバンを手にし歩き出す。




カランカラン---


心地よいドアベルの音を後に、店から出た。