「凄く美味しいです。相沢さんが作ったんですか?」
「ふふっ…、そうよ。ベルギー産とスイス産のチョコをたっぷり使っているの。滑らかでコクもある、自慢の一品よ」
「へー…、そうなんですか。………うん、本当に美味しい~」
多分それと相沢さんが作ったからこそ、こんなに美味しいケーキが出来たんだと思う。
そしてホークを置いた私は、フワリと生クリームがたっぷり入っているコーヒーカップに口に含んだ。
「んっ、恢、コーヒー凄く美味しいよ」
「だったら砂糖を入れずに飲め」
「へへへへ………」
実はこっそりと生クリームが入っているのに砂糖を入れたんだけど、それを恢には見られていたらしい。
ニヘッと笑う私を一瞥した恢は、それから自分の仕事に取り掛かるべく手を動かし始めた。
何となくそれをジッと見ていたら視線を感じ、そちらに顔を向ける。
「相沢さん?」
「月夜でいいわよ」
えっと…、年上の人に名前で呼ぶのは気が引けるなぁ…
困ったな…、と思っているとニコリと微笑みかけられた。
うーん、ではお言葉に甘えて---



