ビニール袋を片手に裏口から入ってきたその女性は恢と同じ黒い腰エプロンを着用し、それから黒いチョッキとその中には白シャツを着ている二十代後半くらい…
その女性は黒髪を頭の上で止め、面長な顔立ちに細長な瞳と高い鼻筋に薄い艶やかな紅いルージュが一際、その女性を酷く魅惑的に見せていた。
同じ女の私でさえドキドキしてしまうほどの美貌と、どこか儚さを持つその女性は何故か…
細長の瞳だからなのか…、冷ややかさを感じるけど---
それでもそれを上回る程の温かさをこの人から感じるのは、大人の女性だから?
ううん、違う…
この人がまとう空気はどこか柔らかく、人を包みこむ優しさがまるでこの店の温かさと同じ。
まるで…
母親のような温かい温もりが、その人から漂ってくるのだ。



