「ウィンナーコーヒー?」
「それ、生クリーム入りでうまいぞ」
ニヤッとまるでお子様は甘くなければだめだろ?とでも言いたげな顔をされムカッとしたけど、でもそれが結局一番いいかも…
そう思いその提案に頷くと、恢はそれに目で答え動き始めた。
どうやら恢が作ってくれるようだ。
大きな手がコーヒーミルで豆を挽き始め、そこから私の座っている所へと豆の良い香りが私の鼻腔を擽りてくる。
あまりコーヒーを好んでは飲まない私でも少し苦味のありそうな香りに心地よいと感じて、目を瞑りその香りを楽しんだ。
「凄くいい香りだね…」
「あぁ、そうだな」
「…そう言えばここで働いているのは、恢一人だけなの?」
ホッとするコーヒーのその香りに酔いしれていたところで、この店には今現在、働いている人間は恢しかいないことに気付いて疑問を投げかけた。
恢と視線がぶつかる。



