「えっと…、かっこいいね、服」
「服?…シャツは学園で見慣れてるだろ?」
「ううん、そうじゃなくて」
思わずカウンターで隠れている恢の足元を指差すと、あぁ…と納得したように頷いて見せた。
「これはこの店のユニホームだ。………ソムリエエプロンとか言うらしいな」
「うん、バリスタの人が着てるのをテレビで見た事ある」
「………それより注文は?」
「あ…、うん」
黒の長い腰エプロンに白シャツ姿の恢に見惚れていた私は注文を促され、焦りながら目の前のメニュー表を開くと選び始めた。
ここはカフェ。
頼むべき飲み物はやはりコーヒーだよね。
でも苦味の苦手な私が頼んでも大丈夫そうな飲み物って…
何にすればいいんだろう?
ジッとメニュー表と格闘をしていると、目の前に長く節ばった力強い指があるメニューを指差してきた。



