私の耳元を風が切り、そして大きな音をたてた。
横には恢の腕が視界に入り、壁に手をつき私を上から見下ろす恢と視線が合う。
突然…、なに?
驚いた私は思わす傘を落としてしまった。
雨が…私の顔に当たる---
「えッ?」
「ふーん…」
「な、なによ?」
どこかおもしろそうに目を細める黒い瞳と視線が合ってたじろいだ。
「もしかして…、俺とのキスが忘れられなかった?」
「……………ッ、」
その言葉に一気に顔に熱が集まるのを感じた。
そう言えば私、恢とキス………した事があったんだっけ。
徐々に目の前にいた恢の顔が近づいてくるのを感じてびっくりした私は思わず瞳をギュッと瞑る。
恢の吐息が…、私の唇に微かに触れた。



