好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―


瀬戸があたしの手を握ったまま人混みの中を歩いていく。

一度手を離そうとしたけれど、はぐれるからって離してはくれなかった。

右手から伝わる瀬戸の温もり……。

それを意識してしまうとクラクラしそうだった。


「……どこ行くの?」

「んー?秘密」


楽しそうに笑う瀬戸。

さっきから聞いても答えてくれない。


あたしの手を引いて少し前を歩く瀬戸の背中をぼんやりと見つめる。


……そして、さっきの女子達が話していたことを思い出す。


……瀬戸と結衣。

もしかして、あかりさんが言っていた瀬戸に付きまとっていた女の子って……結衣のこと?


だから、瀬戸も広里君もはぐらかした?

あたしが結衣と仲が良いから?


……分からない。


リホが言っていたようにただの噂かもしれないし。

気にするほどのことでもないのかもしれない。

でも……


そんなことを考えながら瀬戸の背中をじっと見ていると、突然瀬戸が振り返る。