悶々としたまま授業を受けたけど、全然頭に入ってこなかった。

気になるのは瀬戸に付きまとっていたという女の子のこと。

答えたくないのかもしれない。

知られたくないのかもしれないけれど、瀬戸の反応も広里君の反応もおかしかった。

……何かある。

直感的にそう思ったけれど、もう確かめる術はない。


本人も、仲の良い広里君にももう聞けそうにはないから。


休み時間にトイレに来たあたしは自分の顔を見て少し驚く。

ものすごく辛気臭い。

リホに言われたような酷い顔。


……そうよ、別にあたしが悩むようなことなんて何もない。

瀬戸のことだって、別にあたしには関係ないんだから。

あたしが無駄に頭を悩ませることなんてない。

笑おう。

じゃないと、何か負のオーラが出そうな気がする。


パン!と頬を軽く叩いてからあたしはトイレを出た。