瀬戸は少しの間黙り込み……そして、またヘラッと気の抜けたような笑みを見せた。
「ははっ、鈍ちんのつぐみちゃんでもさすがに分かっちゃったかー」
な、何なの……。
さっきまでは瀬戸じゃないんじゃないかってぐらいに真剣な顔してたのに……。
またいつものヘラヘラ顔に戻っちゃった……。
「瀬戸、」
「俺ね、絶賛片想い中なの。
だからそれは受け取れない。
ごめんな」
そう言われたら……無理に渡すのも何か悪い気がする。
でも……
あたしは自分の手の中にあるラブレターをに視線を落とした。
これは結衣が瀬戸のことを思って一生懸命気持ちを込めて書いたもの。
もし、それが叶うことがないんだとしても……せめて、少しでもいいから目を通してあげてほしい……。
「瀬戸、お願いがあるの」
「んー?」
「結衣の気持ちに答えられないっていうなら、それは仕方のないことだけど……。
でも、読むだけ読んでほしいの!
お願い!
……お願いだから……」
「平野……」
あたしはラブレターを差し出しながら瀬戸の表情を見る。
「え………」
あたしはその顔を見て思わず固まる。
どうして……
……どうしてそんなに傷ついたような顔してるの?

