「あの……」
「用事はそれだけ?」
「うん、そうだけど……」
「じゃあ、俺はもう戻ろうかな?」
……え?
「ちょっと、これは?」
そう言いながら結衣から預かったラブレターを瀬戸へ突き出す。
だけど、瀬戸は受け取ろうとはしなかった。
ただ、あたしの顔を見て小さく苦笑いした。
「見なくても大体分かるから」
「でも受け取ってよ。
これは結衣の気持ちなんだから」
「知ってるよ。
でも、だからこそ俺は受け取れない」
頑なに受け取ろうとしない瀬戸。
何でーー
そう言おうとして……やめた。
瀬戸の目が真剣だったから。
いつもの適当な胡散臭いヘラヘラな表情じゃなかったから。
……瀬戸は、きっとーー
「……瀬戸、もしかして好きな人いるの?」
あたしがそう聞いた瞬間、瀬戸の目が大きく見開かれた。

