「え……これ……。
平野から?……な、わけないよな」


あたしが差し出したラブレターを見つめながら小さな声でボソボソと呟く瀬戸。


「結衣からだよ」

「……結衣?」


……あたしがそう言った瞬間、さっきまでのヘラヘラ顔はどこへ行ったのか、瀬戸は突然顔をしかめた。


「……瀬戸?」


その顔は見たこともないぐらいに真剣で……なぜか少し切なそうな顔をしていた。


「結衣って……高橋?」

「うん、高橋結衣だけど……」


同じクラスなんだから……もちろん知ってるよね?


「……………」


……瀬戸はあたしの手にあるラブレターを黙って見つめたまま。


「……瀬戸?」

「平野、頼まれたんだ?
高橋に」

「あ……うん。
そうだけど……」


あたしがそう言うと、瀬戸はまたラブレターを見つめたまま黙り込む。


……そして、しばらくすると「……ははっ」と力なく失笑した。


「……そーいうことね。
……ははっ、バカみてぇ。
ちょっと期待してたんだけどなー……」


……瀬戸?

何で……そんなに苦しそうなの?


いつもの瀬戸からは想像できない表情にあたしは少し戸惑った。