「だからさ、一回人を好きになったら最後まで本気で突っ走るよ。
水田クンには悪いけどさ、俺は平野に拒絶されるまでは絶対諦めないからねー」


空気がピリッとした気がした。

水谷君は何も言わない。

何も言わないけど、水谷君と瀬戸との間に見えない火花が散っているような気がする。

本気?

二人とも、本気なの?

あたしなんかに?

特に何の取り柄もないあたしなのに?


あたしの肩に手を置いていた瀬戸の力が更に強まった気がする。

さっきよりも瀬戸の体に密着させられたあたし。


え、ちょっと本当に離れてよ。

ここどこだと思ってるの。

昇降口だよ。


グイグイ押しても離れる気配のない瀬戸。


「……離しなさい……ってば!」


仕方ないから思いっきり瀬戸の足を踏んづけた。


「イダッ!!!」