水谷君の方を見ながら口角を上げる瀬戸。
口元は笑ってるのに目が笑ってない……。
いつもの瀬戸からは考えられない表情。
そんな瀬戸を軽く睨む水谷君……。
「それ、そっくりそのまま瀬戸に返すよ」
「水谷君!?」
「俺も瀬戸に平野の周り、うろちょろしてほしくないかな。
ていうかさ、瀬戸って別に平野の彼氏なわけじゃないんだろ?」
なら関係ないよな、と瀬戸を見てフっと口元を緩める水谷君。
「関係ない?そんなわけないでしょ。
関係大アリよ」
「ちょっ、瀬戸……!」
瀬戸はあたしの肩に手を置くと、そのままグイッと自分の方に引き寄せた。
途端に水谷君の表情が険しくなる。
あたしは瀬戸の手をどかそうとするも、思っていたよりも力が強くてビクともしない。
「俺ね、こう見えても結構一途なのよ。
意外ってよく言われるけどさー」
「何の話してんの……ってか、いいから離してってば……」
必死に瀬戸から離れようとするあたしを気にも留めず、瀬戸はベラベラと話し続ける。

