「おはよう、平野」

「あ……水谷君。
おはよう」


水谷君から告白をされた次の日。

昇降口で上履きに履き替えていると声をかけられた。


「昨日、あの後大丈夫だった?」

「あ、うん」


昨日。

瀬戸は送ってくれるとは言ってくれたけど。

瀬戸の家とは正反対の方角だと知って、結局一人で帰った。

瀬戸はゴネてたけど、まだそんなに暗くなかったし申し訳なかったから。

だからあの後何もなかった。


「ビックリしたよ。
突然瀬戸が出てきたから」

「ごめんね……」

「謝らなくていいよ。
平野が悪いわけじゃないし……」


けど、と水谷君は言葉を続ける。


「平野と瀬戸って付き合ってるわけじゃないんだよな?」

「そ、そんなの!当たり前だよ!」


突然そんなことを言われて、思わず声が大きくなってしまった。

あっ……。

そう思って慌てて手で口を塞ぐと、水谷君はそんなあたしを見て小さく笑った。