瀬戸の目がまっすぐあたしを捉える。

何も言わず、ただ静かにあたしを見つめるだけ……。

ドク……ドク……とどこからか心臓の音が聞こえる気がする。

こうやってちゃんと見てみれば、瀬戸は綺麗な目をしている。

おちゃらけた性格だけど、顔はそこそこ整っているほうだと思う。

そんな瀬戸が……あたしを見ている。


「瀬戸……」


あたしが名前を呟くと、瀬戸は真剣な表情から一転。

にっこりと笑顔を見せる。


「ははっ。
やっぱつぐみちゃんおもしろー」

「ちょっ……瀬戸!?」

「どう?ちょっとドキドキした?」


いたずらに成功した子供のように笑いながらそんなことを聞いてくる瀬戸。


「ば、バカじゃないの!?」

「あれ、これでもダメか。
つぐみちゃんは手強いなー」


そう言いながらヘラヘラ笑う瀬戸。

やっぱりコイツ何考えてるのか分かんない!

そう思いながら瀬戸に背を向ければ、瀬戸は更に笑う。


「あれ、怒っちゃった?
ごめんって、つぐみちゃん」


そう謝りながらも笑っている。

ははっ、と陽気に笑いながら瀬戸は背を向けているあたしの顔を覗き込む。


「何かさー、つぐみちゃんってついからかいたくなっちゃうんだよね」

「はぁ?」

「それって、やっぱ俺がつぐみちゃんのこと好きだからかな」

「っ………!」