「まだなら関係ないだろ。
邪魔すんなよ」

「まだだからこそ関係あるんじゃん。
そりゃ恋敵が現れたら邪魔するよ。
ね、つぐみちゃん」

「え、あ……」


あたしに振らないでよ!

と、心の中で叫ぶ。


「平野、今の返事だけど……」


瀬戸を無視して、水谷君は瀬戸の後ろに追いやられたあたしに話しかける。


「ああ、うん、えっと……」

「また今度もらえる?」

「え?」

「何か思わぬ邪魔が入っちゃったからさ」


そう言って水谷君は瀬戸を軽く睨む。

瀬戸はそんなの気にしていない様子で、そっぽを向きながらヒューと口笛を吹いた。


「うん、じゃあまた今度……」

「ごめんね、時間取らせちゃって」

「ううん、大丈夫だよ」

「俺も全然大丈夫」


瀬戸がにっこり笑いながら答える。


「……お前には言ってないけど」


水谷君がそんな瀬戸を睨む。


「ちょっと、瀬戸……」

「冗談だってば」


あたしが軽く肘で小突くと、瀬戸は小さく笑った。


「……じゃあ、平野。
また今度」

「うん、バイバイ」


水谷君は最後にもう一度瀬戸を睨むと教室を出て行った。