「せ……瀬戸!?」
教室の入り口には瀬戸が笑顔で手を振りながら立っていた。
何で瀬戸が……。
あたしは瀬戸の姿を見たまま呆然とする。
「瀬戸……?何で……」
それは水谷君も同じだったみたいで、瀬戸の方を見ながら小さく呟いていた。
そんなのはお構いなしといった感じに瀬戸はズンズンとこちらに歩いてくる。
「ちょっと、瀬戸……どうして……」
「どうしてって、約束したじゃん。
一緒に帰ろうって!」
「は!?
そんなの、してな……」
「平野と瀬戸って……そういう関係なの?」
あたし達を見ながら水谷君がそう聞いてくる。
そんな水谷君にあたしはブンブンと勢いよく首を横に振る。
「ちがっ……」
「“まだ”そういう関係じゃないけど。
でも俺は諦めるつもりは一切ないから」
そう言いながら瀬戸はなぜかあたしを背中に隠そうとする。
まるで水谷君の視界に入らせないようにしてるみたいに。

