「あかりさん?」


裏から出てきたあたしが名前を呼べば、その人はぱぁっと目を輝かせながら振り向いた。


「つぐみちゃん!」


会いたかった-!とあたしに勢いよく抱き着くあかりさん。

瀬戸の、お姉さん。


「会えてよかった!
もう今日はこのまま知り合いに誰一人会えないと思ってたの!
でも、さっきたまたまヒロ君を見かけてね!
あー、よかった!」


相変わらずの元気の良さ……。

瀬戸よりもインパクトのあるあかりさんに笑いながら相槌を打つ。


「もー、聞いてよ!
涼にシフトの時間聞いたらここだって言うから来たのに、いないのよ!
まったく、涼のクセにあたしに嘘ついて……」


もしかして……瀬戸が広里君にシフト変更頼んだのって……あかりさんに会いたくなかったから?

あたしがあかりさんに会ったって初めて言った時も、すごく動揺してたもんね。

あの時の瀬戸の表情を思い浮かべてあたしは思わず笑顔になる。


「あーあ、せっかく涼の接客姿見てからかってやろうと思ったのに!」


だから逃げたのか……瀬戸。


「でも、つぐみちゃんに会えたからよかった。
夏休み以来だね、元気だった?」

「はい、元気でしたよ」


笑顔を浮かべてそう言ったつもりだったのに。

あかりさんはあたしの顔をじっと見つめると、突然右手であたしの頬を軽くつまみ始めた。