……瀬戸と代わったんだ。

そうだよね、だって瀬戸は今日は結衣と回ってるから。

わざわざシフト代わってもらうほど、そんなに一緒にいたかったんだ。


考えれば考えるほど胸が苦しくなる。


うつむき、溜息をつくあたし。

そんなあたしを見て、広里君は小さく笑みを浮かべる。


「今、涼のシフト変更の元凶となった人が来てるんだけどさ。
平野に会いたいって」

「……元凶?」


誰……それ。

もしかして、結衣?

いや、結衣ならクラスメートなんだからわざわざ広里君を介さなくてもそのまま裏に来るはず。


あたしは接客スペースと荷物置きになっている裏とを分けている簡素な仕切りからそっと顔を覗かせる。


昼間に比べるとグッと少なくなったお客さん。

そのお客さん達の顔を一人ひとり見ていく。


「あれ……あの人……」


その中から見覚えのある人物を見つけて、あたしは思わず目を見開く。

勢いよく振り返って広里君を見れば、早く行って来いよとでも言うようにシッシッと手を振る。