広里君の優しいけれど真剣な目。


今日の広里君……意味分かんないよ。


「……高橋がどうだとかそんなの考えなくていい。
涼のことが好きなら、信じてあげて」

「……広里君は何か知ってるの?
だからそんなこと言うの?」


瀬戸を信じれば大丈夫ってその自信がどこから出てくるのか分からない。

だって、あたしは好きじゃないと言われた身なのに。

それを聞いてもまだ瀬戸を信じろだなんて。


だけど、広里君はゆっくり首を横に振る。


「残念だけど、何も知らない」

「じゃあ、」

「でも、これだけは知ってる。
涼はしつこい性格だから。
ストーカー予備軍だから」


そんなことを言って広里君はクスクス笑う。


「それとこれと何の関係が……」

「分かんないんだったらいいや。
俺は一人楽しんで見守ってるから」

「ちょっ……教えてよ!」


声を出して笑う広里君。

ちんぷんかんぷんなあたしはそんな広里君をじとっとした目で見るけれど、それは逆効果のようで広里君はますます楽しそうな顔をして笑う。


「広里君って優しいのか何なのか分かんない……」


あたしがそう呟いた瞬間。

教室の扉が開く音がして、あたしはもちろん笑っていた広里君もそちらへ視線を向けた。