広里君はじっとあたしの目を見る。

……何だか広里君には全て見透かされそうで、あたしは思わず目をそらす。


「……ふーん。
それでいいんだ?」

「……うん」


それでいいんだも何も……もう何もできないから。

これ以上あたしにできることなんて、何もない。


だけど、広里君はそんなあたしを見てどこか納得してなさそうな表情で。

食べ終わったメロンパンの袋を丸めながら、まるで本心を探るかのようにじっとあたしを見てくる。


「……俺さ、言ったよな」

「ん?」

「夏休み前、平野に。
涼のこと信じてれば何も心配はいらないって」


……言われたっけ。

いや、そう言われれば確かに……。

ううん、でもはっきりとは覚えてない。

あたしが首を傾げれば、広里君は静かにため息をついた。


「結局平野は涼のこと信じきれなかったわけだ」

「なっ……にそれ……。
信じるも何も……もう好きじゃないなんて言われたら、どうしようもないじゃん」

「そんなこと言われたんだ、アイツに」

「そうだよ!
人のこと散々振り回しといて、最後は……あんな……」


……言えばよかった。

もっと早く……

好きだよって……

……言えればよかった。


あたしがうつむくと、広里君はそんなあたしの頭にポンっと手を載せた。