「広里君はさ、知ってたの?」
「何を?」
「その……瀬戸と結衣が付き合い始めたってこと。
噂の前から」
そう聞くと、広里君はメロンパンを食べる手を止め真剣な顔でこっちを見た。
「……さあ、どうだろ」
だけど、返事は曖昧で。
そう言うとすぐにまたメロンパンを食べ始める。
「平野はさ、受け入れたんだな」
「え?」
「涼と高橋のこと」
広里君はメロンパンを咀嚼しながら横目であたしを見る。
「広里君……?」
「もっとブチ切れていいと思うけど。
涼にも高橋にも」
ブチ切れ……。
「……瀬戸には多少言いたいこと言ったけど……結衣にはそんなこと言う資格なんてないから」
ただ、好きな人が同じだっただけ。
もしかしたら、タイミングが違えば結衣とあたしの立場は逆だったかもしれない。
だから……結衣を責めることなんてできない。

