「あれ、平野だけ?」


一人寂しくため息をついていると、教室の扉が開いて広里君が入ってきた。


「広里君?」


みんなご飯食べに行ったと思ってたのに。


「外行ったんじゃないの?」

「俺、金欠だから。購買で買ってきた」


そう言いながら広里君は手に持っていたビニール袋を軽く上げた。


「平野は?行かなかったの?」

「あー……うん。
ちょっと食欲なくて」


ふーん、と言いながら広里君はあたしの隣に座る。


「それって涼のせい?」

「……思った以上に直球でくるね」

「いや、だってそれしか思いつかないし」


広里君はビニール袋からメロンパンを取り出してかぶりつく。


「で、どうなの?」

「瀬戸のせいっていうか……」

「じゃあ高橋か」

「……ぐいぐいくるね」


あたしは思わず苦笑いする。