お昼、か。

実はあんまり食べる気はしない。

お腹空いてないし。

朝もそんなに食べてきたわけではないけど、なんかお腹が空かない。


「瀬戸君、ご飯食べにいこ!」


結衣はあたしには目もくれず一目散に瀬戸の元へ。

腕を掴まれて満更でもなさそうな瀬戸。


……見ない見ない。

見なきゃいいんだから。


チクリと痛む胸を抱えながらそっと視線をそらす。


「つぐみ、ご飯食べに行こ」


リホを含めた女子数人がお財布を持って声をかけてくれる。


……嬉しいけど、やっぱり何も食べる気にはなれない。


「ごめん!
実はあたし昨日全然寝てなくてさ、この時間で昼寝しようかなーと思ってて」

「えー、昼寝ー?」

「何かちょっと元気ないと思ってたけど、それが原因かー。
ちゃんと寝て英気養いなよ!」


そんなことを言って笑う女子達の中で、リホは一人だけ何か言いたげな顔をしている。

そんなリホに大丈夫だよという意味をこめて笑顔を見せれば、はーとため息をつかれた。


「近くのファミレスにいるから、気が向いたらおいで」

「うん、ありがとう」