整理できない頭を抱えながら結衣と別れる。

一緒に教室になんて戻れなくて。

適当に言い訳して逃げてきた。


チャイムが鳴っても教室に戻りたくなくて。

誰もいない廊下で、教室に置いてこれなかったカバンを抱えてしゃがみこむ。


壁に頭を預けて静かに息を吐く。


分かんないよ……。

瀬戸は結衣のこと何とも思ってなかったんでしょ?

ラブレターを渡したときだって嫌そうな顔をしていたのに。

告白を受け入れるぐらいならどうしてあたしを後夜祭に誘ったの?


……あたしのタイミングが悪かったの?


好きになるのも、告白するのも……全部遅かったの……?


「もう嫌……」


抱え込んだカバンに顔を埋める。

涙が出そう。

でも、こんなところで泣きたくない。

なのに、じわっと涙がカバンに染み込んでいく。


いつまでもこうしていられないのに。

授業に出なくちゃいけないのに……。

教室に戻ってみんなの前に出せるような顔ではない。