好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―



……だけど。

広里君の言っていた意味が分かったのは意外にもすぐのことだった。


次の日。

下駄箱でローファーから上履きに履き替えていると、後ろからすごい勢いで背中を叩かれた。

振り返ると、亜美が焦ったような表情をしながら息を切らしていた。


朝から走って来たの?

亜美が?


「何かあったの?」

「何かあったどころじゃないわよ!
どうして!?」


いや、突然そう言われましても……。


「何が?」

「何がって……知らないの?
って、あたしもさっき知ったばかりだからアレだけど……」

「亜美?」

「瀬戸が付き合い始めたって!!
つぐみじゃない女子と!!」

「……え?」


亜美の言葉にあたしはしまおうとしていたローファーを思わず床に落とす。

近くにいた人が少しだけビックリしたようにあたしを見る。

だけど、そんなことどうでもよくて……。


瀬戸が……?