好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―


「幸せダダ漏れだよ。
意外に分かりやすいよな、平野って」

「そ、そうかな……」


広里君はあたしの手にしているいちごオレに目をやると、フッと小さく笑う。


「……分かりやすいのはアイツも一緒か」


広里君だって。

瀬戸の話をする時は少し穏やか。

仲良しなことなんてすぐ分かる。


すると、広里君は突然真剣な表情になりあたしを見る。


「……なぁ、平野。
何か変わったこととかない?」

「変わったこと?」

「主に涼の周辺で」

「瀬戸?
いや……特にないと思うけど」


あたしがそう答えると、広里君は少し黙り込んでからゆっくりと口を開く。


「……ならいいけど」

「何かあったの?」

「いや……俺の考え過ぎだから。
何もないならいいや」


広里君はそう言うと男子の輪の中へと戻っていく。

……変なの。

あたしは首を傾げながら自分の席へと戻っていった。