……何なんだろう、これは。
「つぐみちゃん、おはよー」
辺りを見回せば、広里君が口パクでドンマイと言っているのが見えた。
「ね、数学の宿題やった?
俺、まだ終わってなくてさー」
……何なの?一体……。
「つぐみちゃん?
聞いてるー?」
さっきから一方的に話しかけてくる瀬戸にようやく目を向ければ、瀬戸はヘラヘラとした笑顔を見せる。
「……瀬戸?」
「んー?」
「えっと……」
朝。
教室に入ったあたしに真っ先に近寄ってきた瀬戸。
今までも教室で話すことは何度もあったけど、今日はそれとは違う違和感を感じる……。
あたしが教室の入り口から席に着くまでの間、ずっと離れずについてきた瀬戸。
それからもずっとあたしに向けて喋り続ける。
これはまるで……
……瀬戸にまとわりついていた結衣と一緒。