「え?って……瀬戸が誘ったんじゃん」

「いや、そうだけど……え、マジでいいの?」


瀬戸が目を丸くしたまま確認してくる。

それに対して頷けば、瀬戸の表情が徐々に笑顔に変わっていく。


「うわー、絶対断られると思ったのに。
どうしよ……すげー嬉しい」


ちょっとだけ照れたように瀬戸がはにかむ。

そんな表情を見せられると、あたしまで……。

ドキドキし始めた胸をそっと抑える。


「ちょっと待ってて。
カバン持ってくるから」


嬉しそうに笑いながら瀬戸はポン、とあたしの頭に手を置く。

途端に胸の鼓動が速くなる。


「リホちゃんにうまーく言って抜けてくる」


ニシシ、とまるで子供がいたずらを思いついたような表情。

リホは多分普通に送り出してくれると思うけど。


「すぐ戻ってくるから!
ここにいてね!」


そう言って瀬戸は走って教室に戻っていった。