結衣のアタックはすごかった。

いつも飄々としていてヘラヘラ笑っていた瀬戸が徐々に生気を失っていく。

そんな光景をクラスメートは半ば同情的な目で見ていた。


「大人しそうに見えて、やるわね」


リホが色画用紙を丁寧に切りながら呟く。

あたしはそれを真似しながら色画用紙を切るけども、上手くいかない。


「つぐみ……不器用」


リホが笑いながらそれを見てくる。


文化祭の放課後準備。

この時期になると校内は活気付く。

部活があってなかなか出られない人もいるけど、あたしみたいに何もない人は暇だから割と毎日残ってたりする。

リホを中心とするあたしのクラス準備は今のところ順調に進んでいる。


「あの瀬戸があんなにげんなりしている姿を見ることになるとはねー」

「リホ、ちょっと楽しんでる?」

「まさか。
さすがに可哀想だと思ってるわよ。
だから、ちょっと瀬戸をリフレッシュさせるための策を練ってるところ」


策?と首を傾げたあたしに、リホはニッと白い歯を見せながら「まだ内緒」と笑った。