「喫茶店、だっけ」

「うん。
まぁ、売るものは決まってるし。
内装考えるだけだから」


間に合うでしょ、とリホは言う。


「文化祭かぁ……」


何となくそう呟いてみる。

文化祭……。


「今年こそは彼氏と……」


リホがメラメラ燃えている。

やっぱり彼氏と二人で回ることは女子の憧れ。

まぁ、あたしは去年結局できなくて女子同士で楽しんだけど。


「彼氏……」

「つぐみは?どうなの?」

「え?」

「夏祭りの時、瀬戸と二人で抜けたじゃん。
あの後どうなったの?」


ニヤニヤしながらリホが聞いてくる。


「あの後って……別に」

「えー、本当に?
ちょっと二人の発展が気になってたのに」

「発展なんて……」


リホの熱い眼差しから逃れるために少しだけ視線をそらす。

すると、少し離れたところで友達と談笑している瀬戸とバッチリ目が合ってしまった。

あ……と思ったのも束の間。

瀬戸はあたしににっこりと微笑みかけ、友達との談笑に戻っていく。


「え……ちょっ、何今の」

「何なんだろう……」

「何かすごいカップルみたいだったけど。
本当に付き合ってないの?」

「付き合ってないよ」


あたしがそう断言すると、リホは残念そうに肩を落とした。