「………………」

「………………」


お互いに目を合わせたまま戸惑うあたし達……。

瀬戸の困ったような顔。

どうしたらいいのか分からない、というような顔。

そんな顔を見てあたしはソファの上に置いたままのカバンを手に取る。


「ごめんね、あたし帰るよ」

「え?」

「元々あかりさんと話をしに来ただけだし……」


あかりさんがいなくなった今、ここには居づらいといいますか……。

瀬戸も困ってるみたいだし。

そう思ってカバンを持って歩き出そうとすると、瀬戸があたしの前に立ちはだかる。

あたしよりも大きな瀬戸が目の前に立てば、それは十分な壁に思える。


「瀬戸?」

「ちょっと待って」

「え、でも……」

「いいから」


そのまま瀬戸の横を通り抜けて帰ろうと思ったけど、瀬戸の真剣な表情を見てあたしの足は止まる。