《え、花火?
一緒に見たの?》

「……うん」


セミの鳴き声がうるさい。

家の中にいてもミンミン聞こえてくる。

あたしはケータイを持ち直してまた耳に当てる。

亜美の声が機械越しに聞こえてくる。


《やっぱりつぐみ、瀬戸のこと……》

「………違う」

《何が違うの》

「……とにかく、違うの」


声に出して認めてしまったら。

もうきっと元には戻れない。


《………まぁ、いいけど。
それより、この前話した遊園地のことなんだけどさー》



夏休み。

そこそこ遊びには行ってるし、これからの予定もある。

……楽しい夏休みのはずなのに。

何だかスッキリしない。