「………………」
「ごめんね、瀬戸。
付き合わせちゃって……。
結衣にはあたしから伝えておくから」
そう言いながらブレザーのポケットにまたラブレターをしまう。
……仕方ない。
こういうことだってある。
結衣だってそれは分かってるはず……。
「平野」
「ん?」
ていうか、さっきからコイツは平野だったりつぐみちゃんだったり……
呼び方統一しろよ、と心の中で突っ込む。
「何?」
「……高橋には何て言うつもり?」
「え?何てって……。
正直に言うけど。
瀬戸には好きな人がいるからって」
それ以外に言いようがないでしょ?
そう思っていると、瀬戸はあたしの目をじっと見つめながらゆっくりと首を横に振った。
「……ダメだ。
それだけは言わない方がいい」
「は?」
何で?
ていうか、それ以外に言いようがないでしょ?
「意味分かんない」
「とにかく、高橋には俺の好きな人の話はするな」
あんまり人に知られたくないのかな……?
でも……
「じゃあ、何て言えば……」
「気持ちには答えられないって言っといて」
「あぁ……うん、分かったけど……」

