「え……瀬戸に?」


あたしがそう聞くと、目の前にいたあたしの友達は頬を赤く染めて小さく頷いた。


「え……結衣、本気?」

「うん……ダメ、かな?」

「ううん!
ダメじゃないけど……その、ちょっとビックリしちゃって」


初めて聞いたし……。

結衣がまさか……あの瀬戸のことが好きだったなんて!


「つぐみ……?」

「あ、ごめん!
えっと、それで……」

「これ……渡してほしいの!」

「……え?」


結衣はあたしにあるものを差し出した。

それを見てあたしは目を大きく見開く。


「こ、これ……!」


ラブレターじゃ……!


「あ、あたしが瀬戸に?」

「うん……。
つぐみ、瀬戸君と仲良いし……お願い!」


で、でも……


「そんな大事な役……し、失敗したら……!」

「大丈夫!
渡してくれるだけでいいから!
お願い!
つぐみしか頼れる人いないの!」


結衣の必死さがヒシヒシと伝わってくる。

そんなキューピッド的な役やったことないけど……

結衣は大事な友達だし……


「分かった。
瀬戸に渡すだけでいいんだよね」

「うん、ありがとう、つぐみ!」