「ユキ!?いったい?」 「この子が川で溺れて、こっちの兄ちゃんが必死に助けようとしてたよ。」 「あ…りがと…ございます」 消え入るような声でお礼を言って、ぐったりしたユキを抱き抱え母は家に入る。 家に着いた時には微かにあったユキの息も、すぐに聞こえなくなった。 「ユキ!ユキ!目を覚ましなさい!ユキ!」 ハルは泣きながら母の後ろ姿を見ていることしか出来なかった。 その夜 遅くに帰った父はユキを見るなりまた出かけた。 それから父は行方不明となった。