「あっ蝶々だ!」 先ほどの緊張がとけたせいか、少しはしゃいでユキが蝶を追う。 「ユキ離れると危ないよ」 笑顔のハルの目に写ったのは、月夜に照らされ薄明かりでも解るほど真っ赤な蝶だった。 (あんな蝶なんてこの辺りにはいない…) 少し不安になる。 (それに静か過ぎるのは…なんでだろ?) ハルはまた考え込んでいた。 「きゃあ!」 ユキの悲鳴に現実に引き戻される。 「ユキ!」 ハルは声のした方に駆け寄る。