「ユキ迷っちゃうよ!」

ミルクの中に迷い込んだような深い霧に包まれている。
ハルが引き返そうと言ってもユキは頑に
「こっち」
と手を離さない。


まるで何かに憑かれたように、確な足取りで霧の中を進む。


「こっちだよ。お兄ちゃん」


突然 目の前の霧が晴れた。


そこには大きな湖が星と満月に照らされて輝いていた。