それから、私はアヤトの事を信じ続けていたし、アヤトも私の事を信じ続けてくれていた。
時には、お互いの家に遊びに行った事もあった。アヤトは一人っ子だった。私には兄と妹がいる。でも、アヤトはウチの兄とも結構仲良しになっていた。親同士でも結構お友達になっていた。

時には悲しい出来事だってあった。
アヤトとけんかして別れそうになって私はリスカまっでやってしまった。手首をカッターで切るとき、何となく辛かった。でも、痛みは感じなかった。自分でやった事だし、自分が悪いと攻め続けてきたから…。アヤトは絶対に悪くないって思ってたから。でも、私がリスカをする度にアヤトは謝ってくれた。慰めてくれた。アヤトは悪くないのに何度も私の頭をなでてくれて何度も私を抱きしめてくれて何度も一緒に泣いてくれた。
 
「りこ…ごめん…」
「アヤトは何も悪くないんだよ…」
「嘘言うなよ!!俺のせいでこんな事やってるんだろ!!」

ついアヤトも強く言ってしまう…。

「りこねぇ…アヤトは優しいって知ってるんだよ。すごく優しいもんね」
「りこも優しいもんな。 だからもうこんな事すんなよ」
「うん…アヤト…ごめんね…ゴメンね」
「俺こそ本当にごめんね… とりあえず俺の家に行こう」
「うん…」
「今日は泊まっていけ」
「うん…ありがとう」
「親に連絡しなきゃね…」
「うん 友達の家に泊まるって言うから大丈夫」
「傷…まだ痛い??」
「うん まだ血が出てるし」
「じゃあ家に帰って消毒してあげる」
「うん」

こんな風に私はいつも悲しい出来事ばかりをアヤトに見せていた。ゴメンね…アヤト
こんな事があったからアヤトは自分の事を攻めていたんだと思う…。

こんな風に自分がアヤトを傷つけていた事 まだ気づいてなかったんだ