哀しみの向こう

「必ず あなたに幸せを導くからね…」


母は そう言うと 私を抱きしめてくれた腕が 消えていく。


母の足も 体も 温もりも…
私は 「お母さん!!」 力いっぱいに 叫んだ。

母が私の 目の前から消えた。


だけど 母が私に逢いに来てくれた 証拠があった。


それは ずっと私が手にしていた 母と写った写真に 残っていた。


「私の宝物」
母の字で 書き記された言葉。


私は 涙を抑えた。