一度唇が離れ、彼はまた顔を近づけてきたから、僕は彼を押しやった。



「もう十分でしょう。」
「全然足りねー」



彼はムッとした表情で、僕の手を押さえつける。



「酒瓶分は頂く。」



そうしてまた、唇が重なった。



僕はきっと忘れない。

この桜を。


この口付けの感触を。



アナタという存在を。



どんな形であろうとも、


僕という存在が、




アナタに刻み込まれますように。



戦の世にて、願うのは……


ただ、それだけ。





――end――