3年生の春。

クラス表に出された名前の中に
自分の名前を探す。

斎藤希風....斎藤希風....

あった....3年、D組。

「....あ....っ」


自分の名前のすぐ傍に

見つけた名前。

木下広翔


嬉しいような、
なんというか複雑な気持ち。


どうして。どうして。


同じクラスなのに
席も近いのに
喋れない自分が大嫌いだった。


学級組織作り。
広翔は、室長に立候補した。
でも、落選した。

広翔は
うちと同じ、体育委員になった。

あの日から
ちょこちょこ話せるようになった。
気持ちも楽になった。

でもその時のうちの隣は
広翔じゃない、男子だった。

その人も優しかった。
愛したつもりだった。
でもどこかで広翔と比べて
広翔を探して。
広翔の代わりなんか....いなくて。

その人とは
受験があるからって別れた。