「うん、わかってるよ。そんなこと」


心配そうな表情であたしを見つめる百合を横目に、あたしは精一杯の笑顔を作る。

普段だったら…
あたしの作り笑いなんて、一発で見抜いてくれるのにね。
香織の話をしてるとき、ケイは香織のことしか考えてない。
だから、作り笑いも気付いてくれないんだ。


「えっ!?なんでわかるの!?お前エスパー!!?」

なんて無邪気に言い放つケイ。

「んなわけないでしょ」


香織の話を聞くのは、やっぱり辛い。

でも…
だけど…

ケイが話し掛けてくれることを喜んでいる自分もいる。


どっちが本当のあたし?なんて聞いたら、両方本当のあたしなんだろうな…なんて、わけのわからないことを、ひとり考えてみたりする。