「ほぇ?」
間抜けな声をだして、ただただ橙乃を見つめた。
橙乃は、ふぅとため息をついてこちらに体を向けた。
「全く…危ないことするなよな。」
「ご、ごめん…」
その顔は、王子様みたいに優しいものではなかった。なんというか、あきれられてる…ような。
なんてゆーか、少し悲しかった。
けど、橙乃は持っていた本を下を向いていた私の頭にコツンとした。
痛くなかった。
「只でさえチビ何だから、気をつけろよ」
その時の橙乃の顔は、一瞬、優しく暖かいものだった。
「うん…あ、ありが、とう」
挙動不審になって、さっきの顔が頭から離れず、わたわたなってしまった。
顔が熱くて、呼吸が苦しくなって、なんだか泣きそうだった。
橙乃は私の代わりに本をしまってくれて、じゃあなと一言だけ残して、その場からいなくなった。
これが恋だと気づくのには、あまり時間はかからなかった。

