「えー、あたたかな春の…」

んー…眠いなあ~

私、星野 涼鏵 (ほしのすずか)
ずずって名前に入ってて鈴はリンリン鳴るからって理由でリンって呼ばれます
おとなしめでどにでもいる普通の女の子
今日から高校一年生です

校長の長い話が終わり、新しい教室へ

今日はホームルームだけだし早く帰れるし、ラッキー!!

教室でホームルームが終わった後すぐに
「りーーーんっ
今日あそぼぉ!!」
教室に元気のいい声が響く
この子は小野舞生
中学からの親友
栗色に染まりふわふわにまかれた髪
バチバチメイクに色白の肌
ギャルちゃんです
「うん、あそぼあそぼ」

どんっ

ん…?
誰かがぶつかってきた
「大丈夫??」
目の前に現れたのはとても綺麗な顔立ちをした男の人
手を差し伸べてくれたけど周りからの女子の視線が痛い
私は何も言わずにその場から逃げた

次の日
「おはよう、星野さん♡」
え?

聞き覚えのあるような、ないような…
後ろを振り返ると昨日ぶつかってきた人

「あ、うん…おは..よう?」
「あははっ星野さんておもしろいね」
「は、はぁ…?」

にかっと笑うきのうの人
何この人…あたし苦手かも…
返事しただけでおもしろいの?
耳ピアスどんだけしてんのよ
チャラいし
なんか女の子で遊んでそうだし…
ってかなんであたしの名前知ってんの!?
よくわからないまま席に戻った

「あれ、星野さん隣だったんだー、
よろしくねー」

隣に座った人が話しかけてきた
はぁ!?
もう散々…昨日の人、隣なんだ…
隣なら名前くらい知ってないと…

「名前…なんですか?」
「俺?ははっ、知らなかったんだ」

だってそんな興味もなかったし…

「暮葉 晴翔」
くれは…はると…

「暮葉くん…」
「晴でいーよ?」
「晴くん…」
「ぶはっ、くん付けじゃ意味ないじゃん 笑なんでもいーでーす」
「じゃあ 暮葉くんで…」
「了解、俺は?すずでいい??」
え…みんなリンって呼ぶんだけど…
どーでもいっか
「お好きにどうぞ…」

暮葉くんはこの日からあたしをすずと呼ぶようになった
すずなんて誰からも呼ばれたことないや

ある日、あたしは聞いた
「なんで暮葉くんはあたしなんかに声かけたの?なんであたしなんかの名前知ってたの?」

暮葉くんは正直、は!?という顔をしてる
だって…ねぇ?
めっちゃこの人女子に人気なんだよ?
そんな人がめっちゃふつーのあたしの名前を覚え、自ら話しかけてきたのだから

「だって、なんか気になったんだよ。
すず、下向いて、悲しそうだった」

は?悲しい??あたしが??
「え、あたし悲しいこととかないよ?」


そんなの…嘘で…
きっともう手遅れだったのだろう
君への恋心に目覚めてしまってたから
あのまぶしいほどの笑顔を向けられたあの日から…
好きな人に同情なんてしてほしくなかったから…

「俺、正直お前見た時俺の幼馴染のヤツ に似てるな、って思った
そいつもいつもうつむいてて、
そばにいてくれる人の前でも
頼っていい人の前でも強がって無理し て笑顔作って…
なんか…似てるんだよな、すずと」

あたしはこの言葉を言った彼の表情を一生忘れないだろう
苦しかった…

人はこんなにも簡単に深い恋に堕ちるのだということをきみの太陽のような笑顔から教えてもらった

ああ、まぶしい
太陽…
あたしをみてよ…
真っ直ぐに…
あたしだけを照らす太陽になってよ

こんなに人を求めたのは
きっと初めてだろう