もう、あたしは高校三年生で、受験も終わりひと段落です。
割と近くの頭の良い大学に受かり…、信夜の心配ごとは減ったと思う。
「…梨乃」
一年間で、更に背が伸びて、声も少し低くなった信夜。
あたしはそんな信夜にドキドキしっぱなし…な訳で。
「なーに?」
「もう一回三年生になってよ…」
さみしそうにそう呟く信夜。
「そ、そう言われても……。あたしだって一緒に居たいけど、大学受かっちゃったしな……」
本気でもう一年高校生活でもいいなぁ?…なんて考えていると、
「毎日会いたい」
信夜は相変わらず、甘えん坊。
あたしが居なくなった高校で……やっていけるのか、とても心配。
「……寂しいからって…、浮気はナシだよ?」
少し心配になって来た。
だって……、信夜は相変わらずのモテっぷり。
なんて言うの?
…不安?
…離れて行きそうで怖い。
コッチの方が正しいかも…。
だって、あたしの方が年上だし、余り可愛くないし…。
「そんなことしないよ…?寂しくなったら、梨乃に会いに行くからいーよ」
「…ホント?」
「うん」
満面の笑みであたしを抱きしめる信夜。
「そ、そっか」
あたしもいつの間にか笑顔になって行った。
信夜は凄い。
あたしを直ぐに笑顔にしてくれる。
ホントに凄いと思う。