「……なあ」
湊は、少し俯いた。
「な、なに?」
「俺、その……」
湊は少し目を泳がせている。
あたしは、上った段を降りて湊の前に立った。
緊張する。
それは、きっと湊も同じだと思う。
「俺、本当に架樹が好きなんだよ。」
「……うん」
「なあ、お願いだから。俺の彼女になってくれない?」
「あ、あの………」
言えない。
言えないよ、あたし。
だって、湊が大切なんだもん。
でもね、それはあたしが関係を崩したくないと思うからかもしれない。
でも、本当に湊が大切なら。
ちゃんと言わないといけない。
「ご、ごめんっ……あた、しっ」
「おい、なにしてんだよ」


