レモンな初恋




 携帯を充電器に置く。




 ほとんど当たり前になってるけれど、一人暮らしみたいなんだよね。


 あたしのために働いてくれてるから、少し無理してないか心配。



 悲しいわけでも、寂しいわけでもない。

 なんか、頑張って働くお父さんが誇らしいと思うんだ。



 けれど、それで倒れたりしないかがいつも心に残ってる。



 あたしのことを想ってくれてるのは、色んな所で分かる。


 例えば、夜ご飯を残さず食べてあったり。

 置手紙に「ありがとう、美味かった」と書いてあったり。

 机に何気なく置いた集金袋に、次の日起きるとお金が入ってあったり。



 会えなくても、気持ちが分かる。



 たまに友達と上手くいかなくて夜中に泣いていたら、部屋まで来て一晩中慰めてくれたこともあった。



 忙しくても、いざって時にはあたしのことを一番に考えてくれてる。


 それを知っているから、あたしは寂しくなんてなかった。



 布団に入って、少し笑う。


「おやすみなさい」



 ちょっと心が温まる日だった。