レモンな初恋





 最初、連也くんと仲良くする前は隣が地味男って最悪とか思っていたのに。


 今は、隣で良かったって心から思ってしまっている。



 けれど、あたしはどうしてもまだ、連也くんに気持ちを伝えていない。




 両想いって分かってるけど、なんか緊張してしまって。


 こうやって話すのが精一杯なんだ。




 いつか、絶対言わなきゃな。



 ……と、思っていたら。



『架樹、明日の昼休み屋上に来てくれない?』



 突然、連也くんが言ってきた。



「え、なんで?」


『いや、嫌ならいいけど』


「あ、全然!大丈夫です!!」



 拗ねたように言う連也くんに、あたしは大声で否定した。



 家の中に誰もいないからいいけどね。


 そんなあたしに、連也くんは笑いながら。


『ふっ、じゃあ、食べたら来てね。おやすみ』


「あ、うん。おやすみなさい」


 あたしは電話を切った。